今どき、1円で買えるものがある。前島密(1835~1919年)の肖像が描かれた普通切手がそれ。幼い頃、届いた封書を水に浸して切手を剥がし、乾燥させて丁寧にストックブックに収めていた思い出深い図柄だ。
 前島は「日本近代郵便の父」として知られ、新聞社とは切っても切れない縁がある。1870年代、世の中の出来事を広く報じる必要性を認め、新聞や雑誌の低料金配達に道を開いた。原稿を無料で送れるようにした功績もある。
 江戸時代末期には建議書「漢字御廃止之議」を幕府に提出した。学問普及のため難しい漢字を使わないようにしようという趣旨だったといわれる。
 きょう8日は郵便マークの日。当時の逓信省が87年のこの日に公表した。ちょっとした曲折を経て、正式には、6日後に「〒」が郵便記号に決まった。
 前島の偉業を振り返っていたら無性に懐かしくなり、近くの郵便局に走った。窓口にはウサギ(2円)やリス(3円)、ニホンザル(5円)の切手も。思わずまとめ買いした。