太古の時代、人の祖先は弱い動物だった。牙を持たず速く走れないため肉食動物の餌食になった。子孫を残す方策として多くの子を産み、食べ物を分配して親の負担を軽くした。
 霊長類学者・山極寿一さんの著書『ゴリラからの警告』(毎日新聞出版)によると、共同の子育てに端を発して仕事の分担や平等の意識が生まれ、人間社会が形成された。
 「人を人らしい存在にした根源に共同保育があった。この精神を受け継ぐのが子ども食堂だ」。仙台市出身の映画監督日向寺太郎さん(53)は山極さんの説を知り、意を強くしたという。
 日向寺さん製作の劇映画「こどもしょくどう」が23日、全国公開される。大衆食堂で生まれ育った小学5年の男の子が、貧困に苦しむ同級生を自宅に招き、両親の料理を振る舞う場面から始まる。
 子どもが大人を動かし、新たな子ども食堂が自然に生まれる物語。貧困や虐待問題がクローズアップされる中、映画が共同保育の仕組みを再構築するきっかけになってほしい。