雨が降りやんだ今月11日の夜、雲の切れ間に「おおぐま座」を見つけた。クマの腰からしっぽのあたりに並ぶ7個の星が、ご存じの北斗七星。

 東日本大震災当日と変わらないはずだが、見え方は違った。「停電で真っ暗だったから」と仙台市天文台の職員。8年前の仙台市の空も夜9時には晴れ上がり、いつもより多くの星が明るく瞬いた。当時は新月から7日目の小舟のような月も浮かんでいた。七夕神話に関係し、古くから「祈りの月」と呼ばれた月。

 天文台があの日の夜空をプラネタリウムで再現した特別プログラム『星よりも、遠くへ』では、7人のエピソードも紹介されている。はっとするほど美しかった星空の思い出は、悲しくつらい体験もよみがえらせる。

 津波で娘と孫を亡くした石巻市の女性は、今も毎晩のように星を見上げるという。「会いたいよ」と声に出しながら。8年前の星空に格別の思いを寄せながら。「今を生きる人たちがいる」と天文台の大江宏典さん(46)。「あの日の夜の光景も震災の記憶をつなぐ遺構です」