「私の言うことを国鉄が一つぐらい聞いてくれたっていいじゃあないか」。50年ばかり前に運輸大臣を務めた荒船清十郎という政治家の、本心がにじみ出た誠に正直な発言だ。
 戦後政治史に残る放言だろうが、何となく憎めない。当時は、国会議員の最大の役割は地元への利益誘導。国とのパイプ役が選挙民からも大いに期待された。
 自分の選挙区にある駅を急行の停車駅に-。亡き荒船さんは運輸相に起用されると、国鉄に働き掛けてそれを実現。後に発覚し、問題になった際の発言が冒頭の言葉。ほかに幾つかの疑惑もあり、結局、辞任する羽目となった。
 運輸省は現在の国土交通省。今は昔の利益誘導がこの役所では命脈を保っているのかもしれない。副大臣が道路整備を巡って耳を疑うような発言をして、きょう辞任した。
 「私が忖度(そんたく)した」と選挙応援の会場で自慢し、それが問題になると「我を忘れて…」。言葉の一つ一つがあまりにも軽すぎる。大丈夫なんだろうか、こういう人が参議院議員をしている国の将来は。