農作業が本格化する季節となった。トラクターで田んぼや畑を耕す光景に出合うと、小さいころ夢中になったスーパーカーを思い出す。この農機なしに数々の名車は生まれなかったからだ。
 第2次世界大戦後の話。イタリアの農家出身の故フェルッチョ・ランボルギーニ氏はトラクター製造会社を設立し、富を築いて高級車を買い集めた。
 あるとき、購入したフェラーリを分解したら、自社のトラクターと同じ部品が使われている。「納得いかない」。フェラーリに掛け合うが、相手にもされない。それなら、と高級車ランボルギーニを開発し対抗した…。
 トラクターは19世紀末、米国で発明された。それまでは数千年にわたり、土を耕すには人力か、牛馬などの力を必要としてきた。そんな苦役から人を解放する歴史的な発明だった。
 そのトラクターが進化している。いまや人工衛星から位置情報を捉え、無人で走行する時代。無人のコンバインも開発された。農作業の風景から、人は次第に消えてしまうのだろうか。