仙台市宮城野区の新浜地区は海の恵みとともに、日本一長い運河である貞山堀の水運に頼ってきた。「白砂青松うち続き、寄せては返す荒磯の新浜男子を知らざるか」。地元で歌い継がれる応援歌にも心意気が見て取れる。
 石油ストーブの出始める前のこと。海浜の松林に分け入り、松葉をごっそりと集める恒例行事があった。「火力が強く、風呂のたき付けに最適でした」と同地区の瀬戸勲さん(76)は話す。炭俵のようにして背負い、貞山堀の船着き場から馬船と呼ぶ木造船で対岸の家へ運んだ。
 馬船のこぎ手でもある瀬戸さんの元を東北学院大の学生たちが訪ねて来たのは、東日本大震災の後だった。歴史学のゼミ生らによる実地研究で、長靴を履いた学生は松葉を担いで渡し場まで歩き、焼き芋体験も味わった。
 その成果を紹介する企画展「新浜で繋(つな)がる、自然・ひと・歴史」が同大博物館(青葉区土樋)で開かれている。温かい交流が描かれ、昔の暮らしを知って驚く若者と元気を取り戻した住民の笑顔に勇気づけられる。5月25日まで。