「心配した五月病の子もなく、安心しました」。10連休が明けた日、受話器の向こうの声が弾んでいた。声の主は仙台市若林区の会社員岡本浩行さん(58)。
 岡本さんは週に2~3回、近くの沖野中の校門前に立ち、朝、登校する生徒らに声掛けする「勝手にあいさつ運動プロジェクト」を2014年に始めた。校門に立つのは、すでに450回近く。
 東日本大震災の避難所運営で住民の連携不足を痛感し、地域の将来を担う子どもたちに目を向けた。当初は無関心だった生徒たちが、今では多くが目を見てあいさつを返してくれる。
 「バス停やコンビニなど、学校以外の場所でも、『岡本さん』と声を掛けてくれる子がいるんですよ」。校門前をスピードを出して通り過ぎていた車も、徐行するようになった。
 うれしさ、楽しさ、悲しさ、つらさ-。「継続して立っているから、表情一つで全生徒のコンディションが手に取るように分かります」と岡本さん。そんな姿を見て、校長先生たちも一緒に立ってくれるようになったそうだ。