「中秋の名月」の13日、仙台市の夜空は曇りがちだった。見逃した方が多いかもしれないが、名月はまた巡ってくる。

 <夜窃(ひそ)かに虫は月下の栗を穿(うが)つ>と松尾芭蕉が詠んだのは、陰暦9月13日の栗名月。中秋の名月(陰暦8月15日)の約1カ月後になり、今年は10月11日。

 丸々とした栗の皮(鬼皮)をむくと、中がスカスカになっていてがっくりすることがある。犯人は白い虫。表面にほとんど痕跡を残さず食い荒らす。

 今年の栗はどうか。仙台朝市をのぞいたら、ピンポン玉ほどもありそうな栗が並んでいた。「7月の長雨が虫食いの被害を減らしたので、出来は最高。栗ご飯にもってこい」と、今庄青果店の高橋正洋店長(53)が威勢良く話す。

 作り方を聞くと、まず包丁で栗の「お尻」を適当に切り、水に漬ける。鬼皮は手でむき、中の渋皮は包丁で。むいたら好みの大きさに切って炊飯器へ。

 栗ご飯はおいしい。秋を丸ごと食べているような気分を味わえる。栗名月に栗に潜む虫を詠むあたり、いにしえの俳聖も大好物だったのかもしれない。