塩釜市の塩釜神社は、港町の守り神として信仰を集める。本殿に至る唐門の前に石灯籠がひっそりと立つ。高さ2メートルはあろうか。くすんだ色が年月を物語る。 それもそのはず、1673年に寄進された。ある逸話が残る。伊達政宗後の歴代藩主は、塩釜に荷揚げされる米や物資をどうやってうまく仙台城下へ運ぶかに頭を悩ませていた。

 ひねり出したアイデアが貞山堀。現在の仙台市宮城野区蒲生まで7キロを運河で結ぶ。工事は難航し、困り果てた家臣が神社に詣で、「成功したら石灯籠を献納します」と誓う。御利益のおかげか、無事完成し、舟の往来が始まって「御舟入堀」と名付けられた。

 境内にはいま、「茅(ち)の輪」と呼ぶ厄払いが置かれている。直径3メートルの輪を竹でつるしている。カヤは疫病を退治するとの故事にならって、3回くぐると新型コロナウイルスも近寄らないとか。静かな人気スポットのようだ。

 言いようのない不安に駆られると、何かにすがりたくなる。人の心はいまも昔も変わらないと気付かされた。