「ああ、やられたなと素直に思った」。平昌冬季五輪で聴いた印象的な言葉だ。スノーボード男子ハーフパイプ決勝。銀メダルの平野歩夢選手(19)が連続4回転技を決めた後、米国のショーン・ホワイト選手に同じ技で見事に逆転された時のコメント▼2人は大けがの後で恐怖心とも闘った。「歩夢がやるのを見て意欲が湧いた」と前回五輪以来の好敵手は、技への挑戦を後押しした平野選手に感謝した。競技の新次元を開拓する者同士の交歓を感じた▼「チャレッソ」(韓国語で『頑張ったね』)との言葉を、18日のスピードスケート女子500メートルで金メダルに輝いた小平奈緒選手(31)の話で知った。敗れて涙を見せた前五輪女王、韓国の李相花選手に寄り添ってそう伝え、地元の重圧の心労をねぎらった▼長年切磋琢磨(せっさたくま)しながら、勝ち負けの感情を超えた友情を培ったという2人。見る人の心も溶かす光景だった。「あなたを今も尊敬している」「ライバルであることを誇りに思う」。そんな言葉の数々が試合後に語られた▼ぎくしゃくする国同士の関係など別世界のように、「まるで一つのチームのように互いをいたわった」と表現する韓国紙も。おらが国の代表を応援するばかりの場ではない、世界の人と人をつないでいる五輪の原点を思い出させた。(2018.2.20)