絶対音感。楽器などの助けを借りなくても音の高さ(ドレミ)を聞き分ける能力だ。基準は440ヘルツのA(ラ)音。だが、この基準音は変化し続けている。最近の世界のオーケストラの主流は442~446ヘルツ。よりきらびやかに聞こえることが理由という。『絶対音感をつける本』に教わった▼平昌五輪がきのう閉幕した。浮かび上がったのは各競技の目覚ましい進化と、絶対王者であり続けることの難しさである▼フィギュアスケート男子は典型だろう。多くの4回転ジャンプを必須とする「新時代五輪」で、羽生結弦選手(仙台市出身)が挑んだ4回転は計6本。ソチ五輪の倍だ。このうちトリプルアクセルと合わせ、出来栄えで満点が3本。全体の芸術性も高い。三島由紀夫が東京五輪の体操を評した言葉を借りれば、「美と力との接点」こそ絶対だと示した▼1年前は無類の強さを誇ったジャンプ女子の高梨沙羅選手は、研究し尽くされて「銅」に。上位選手のフォームを「まるで(高梨選手の)コピー」と伝えたテレビ解説が、無情にも真実を伝える▼基準音は変わっても、ドレミの調和は不変だ。五輪憲章がうたう「平和への貢献」も同じ。絶対であり続けるものは何か。朝鮮半島から東京、北京へ。五輪がアジアを巡るこの4年、かみしめたい。(2018.2.26)