「これからが人生の第2章と、楽しいことを考えてきた」。陸前高田市の仮設住宅で冨山勝敏さん(76)は笑う。東日本大震災の津波でジャズ喫茶「h.イマジン」を失って、11日で丸7年。かさ上げ区域の再建先の引き渡しは今年秋と、先日ようやく告げられた▼店の前身は、気仙大工が洋館風に建てた築60年の旧高田町役場。解体寸前の「お化け屋敷」を買い、淡い緑とピンクのしゃれたカフェに変えて大評判に。だが、開店後3カ月目に跡形なく流された▼郡山市出身で東京の大手ホテルなどで働き、定年後のすみかを探して「三陸の風光に一目ぼれした」。ジャズを愛し、2003年に大船渡市で初代の店を開いた。が、震災前年、不審火で焼ける。「不運なんて思わない。自分は生きている」と、その度に前を向いた▼津波の後、冨山さんが再建の希望を語った本紙記事から、応援のレコード寄付が5千枚も。感謝のお返しに、「多くの人に来てほしい」と店の跡に仮設のバンガロー村を造った。それも市街地復興のかさ上げ工事のため1年余りで撤去。波瀾(はらん)万丈の歳月だった▼再建先は偶然に、津波に消えた店の跡と重なる。周囲の風景はまだ土色でも「ジャズが流れ、楽しみを求める人が集えば、街の第2章も生まれる」。そんな復活を待つ。(2018.3.8)