福島県の会津地方は、食材の宝庫だ。今、売り出し中なのはアスパラガス。会津産は福島県産の90%を占め、みずみずしく、甘さがほんのりとしている。産地で味わう醍醐味(だいごみ)だ▼アスパラガスに続き、夏はトマト、秋はコメと酒、冬は地鶏。これら共通素材で会津若松市の飲食店が腕を振るう「あいづ食の陣」が開かれている。豊富な食材を育む会津の自然は、盆地の肥えた大地と清流、夏と冬、昼と夜の寒暖差の大きさが農業に好条件という▼中でも今年はコメに注目している。会津若松市は本年度、生産者、出荷業者らと「あいづの厳選米」作りに挑む。特徴は江戸時代の農業指導書「会津農書」に記される酒かすを肥料に使うこと。根の張りが良くなり食味も増すという。もちろん地元酒蔵の酒かすだ▼会津産コシヒカリは食味ランキングで「特A」を過去20年で18回獲得する高品質米。新潟産に次ぐ高値で取引されたが、原発事故後は低迷し、コンビニ弁当や外食など業務用の引き合いが増えた。図らずも「うまい、安い」に甘んじ「会津産」が前面に出ないのも歯がゆい▼篤農家佐瀬与次右衛門が著した会津農書は自然暦による農業、循環型農業を重視した。自然災害から作物を守るためだ。原点に返る「厳選米」が風評克服の道を見いだすか。(2018.5.13)