「パクる」を辞書で引くと「アイデアを横取りする」などとある。1980年代、アイドル歌謡と洋楽、特にハードロックに熱中した。当時「これパクったな」と疑った曲が幾つもあった▼忘れられないのが、ある女性アイドルの曲と男性アイドルグループの曲だ。どちらも米国のハードロックバンドの曲とイントロなどがそっくりだった。いずれも好きなバンドだったので「元ネタはこっち」と周囲に触れ回った▼かつて、エレキギターでも似たような例があった。よく模倣品が出回ったのは、今でも人気が高いギブソン社のレスポール・モデル。ロゴを似せた国産のコピーモデルが作られ、本物を持てない若者が手にした。価格が安く、海外にも輸出された。そのため、ギブソン社が日本の製造会社を訴えたこともあった▼自動車の貿易摩擦にも通じる日米のものづくりの歴史の一端だろう。そのギブソン社の破産申請のニュースが流れた。企業買収による負債が原因。楽器生産は継続し、経営再建を目指すという▼日本市場を重視し、日本人のアーティストモデルも多く手掛けていた。音楽の世界はオマージュ(尊敬)の名の下にアイデアの拝借が常のようだが、本家の輝きがあってこそ。コピーモデルしか持てなかった一人として、再興を祈りたい。(2018.6.10)