「トランプ氏は大統領選で勝つ気はなかった」。米国のトランプ政権の衝撃的な裏話が登場する。1月に米国で出版され、話題を呼んだ暴露本『炎と怒り』だ▼本の題名は旧約聖書にある神の怒りを表した言葉。昨夏、北朝鮮が米軍の要衝グアム周辺にミサイルを発射した際、トランプ氏が「世界が見たこともない炎と怒りに見舞われる」と威嚇した時に使った▼当時の一触即発の雰囲気から一転。トランプ氏と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が初の米朝首脳会談に臨み、共同声明に署名した。金氏は完全非核化を約束。トランプ氏は北朝鮮に体制保証を与えることを確約し、日本人拉致問題も協議した▼北東アジアの平和に向けた一歩となる合意。ただ、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏にとって会談は秋の中間選挙に向けた実績づくりが狙いとされる。北朝鮮の非核化の具体的な道筋は示されず、会談が成功かどうかは今後を見ないと分からない▼米国の作家、故スティーブン・コビー氏は著書『7つの習慣』で人格的に筋が通った人間が真の成功に導かれると説いた。成功の条件として挙げるのは、誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、忍耐、勤勉、節制、黄金律。両氏のイメージとはどこか違う。共同声明を手放しで喜べない理由がそこにある。(2018.6.13)