「ビッグ・フライ! オータニサーン!」。米大リーグの試合中継で何度、この言葉を聞いたか。エンゼルスの大谷翔平投手(岩手・花巻東高出)が4月3日に初本塁打を放って以来、特大アーチがスタンドに飛び込むたび、地元局のアナウンサーが叫んだ▼投手と打者の「二刀流」で今季、大リーグに初挑戦。その鮮烈さが他球団のライバルをかすませ、アメリカン・リーグ新人王に選ばれた。野球記者30人のうち実に25人が1位に選ぶ、圧倒的な評価だった▼投手としては途中故障のため登板10試合で4勝ながら、最速160キロの速球で全米を驚かせた。打っては22本塁打、61打点と活躍。二刀流では1919年のベーブ・ルース以来の記録とされ、「再来」を米国の人々に印象づけたのではないか▼「大成するなら、投げるか打つか、絞るべきだ」。日本ハムに入団当初から二刀流を志し、こんな外野の声にさらされた。だが新天地で偉業に導いたものは、自らの夢を貫く強さ。「バッターも楽しく、どちらか選ぶのは難しい」と受賞後も語った▼野茂英雄さん、佐々木主浩さん(仙台市出身)、イチロー選手。大リーグで歴代の新人王を取った日本人選手は皆、長く活躍した。まだ24歳の若者の才能は、自らの本塁打のように大きく伸びていくさなかだ。(2018.11.14)