かわいい、癒やされると猫のペットが空前のブームだ。人に飼われ始めたのは5千年以上前とされ、先祖はアフリカの砂漠のヤマネコ。米ワシントン大の研究では、どう猛な獣が長い時間をかけ、敵対心や食生活などに関する遺伝子を変化させたという▼同様の遺伝子を人工的に改変できたらライオンさえ、人懐こいペットにできるかも。夢でなく、マラリアを媒介しない蚊、特有の病気に耐性のある牛、環境悪化に強いサンゴなどの創出が世界で研究されている▼可能にしたのは、遺伝子の持つ情報を変えるゲノム編集の技術。改変したい部分の遺伝子を除去し、別の性質の遺伝子を代わりに入れたりする。これを用い「健康な双子の女児を誕生させた」と主張する中国の研究者が現れた▼男性がエイズに感染したカップルの受精卵を実験材料に、感染を抑える遺伝子を入れて妊娠させたと発表した。赤ちゃんを産ませる実験は中国を含め世界で「影響が危険で、倫理に反する」と禁じられる。事実か否かの証拠がまだ示されぬ中、研究者は批判を浴びる▼日本では、筋ジストロフィー症をこの遺伝子操作で治療する手法が見つかっている。難病に苦しむ人々を助ける技術は進んでほしい。心配なのは人の好奇心や欲望が先端技術をゆがめる未来だ。(2018.11.30)