画面の絵を見て、すぐに作者が浮かんだ。レンブラントだ。ただ、見たことのない作品。今春、40年以上ぶりに発見された作品でもなかった。実は人工知能(AI)によって、レンブラント風に描かれた絵だった▼脳研究者の池谷裕二さんの講演を聞いた。画像処理とビッグデータによる学習で、芸術的センスを形にするのはAIの得意とするところのようだ。AIにシェークスピア風の詩をつくらせて本物と一緒に提示したところ、区別できない専門家もいたとか▼カウンセリングの世界では、時間を気にせず気兼ねなく相談できるため、AIのほうが人間より回復効果が高いという報告もあるようで、人間がAIに取って代わられる分野が増えるのではと感じた▼「人間とAIの協働がベスト」と強調した池谷さんが、AIにない脳の特徴として挙げたのが「思い込み」。時に記憶を良いようにすり替えることも伴うため悪いことのようだが、個々の記憶や事象に縛られすぎずに「背後の共通性などを想起でき」「推論が立てられる」能力と理解した▼既に簡単なスポーツ記事や企業決算などでAIの記事作成は国内外で実用化されている。脳特有の機能を伸ばした記事を書いていかないと記者も生き残れなくなると、思い込んでみることにした。(2018.12.3)