東北自動車道で嫌な思いをしたことがある。閑散とした状況で前の車が急に減速し、「危ない」と思って追い越した。すると、その車が急加速して抜き返し、また前に出て減速。それを繰り返すので、警笛を鳴らすと、車は走り去った▼怖がらせたいのか、暇つぶしなのか、相手の心理が分からなかった。「あおり運転」と110番通報すればよかったと思った。危険極まる行為へのブレーキが利かない運転者が、各地で悲劇を起こしている▼神奈川県の高速道で昨年6月、執拗(しつよう)に進路妨害され、追い越し車線に駐車させられた車が、大型トラックに追突されて夫婦が死亡、娘2人が負傷した事故。加害者の男が、危険運転致死傷罪などで懲役23年を求刑された▼堺市で7月、オートバイの男性が車に猛スピードで追われ、追突された死亡事故では、運転手の男が殺人罪で起訴された。パーキングエリアで駐車マナーを注意されたり、路上で追い抜かれたり、ささいなことに逆上しての行為という▼厳罰化を掲げる警察は6月、高速道であおり運転の一斉取り締まりを行い、1週間で摘発が1000件を超えた。車は「凶器」と言われて久しいが、今は人間そのものが運転中に突然、異常に攻撃的な凶器に一変する観がある。なぜなのか。その原因も探らねば。(2018.12.13)