負けず嫌いの江戸っ子の話。男が友人に自慢話をする。お灸(きゅう)の店で、美女にいいところを見せようと、一度に数十個の灸を据えた。必死に耐えると、女は喜んだと▼友人は面白くない。山盛りのもぐさを腕に載せ、火を付けた。「石川五右衛門は釜ゆでになった。灸ぐらいで威張るな」と豪語する。落語『強情灸』である▼日本と韓国以外の国から見れば、そんな意地の張り合いに見えるかもしれない。火器管制レーダー照射問題を巡る両国の対立である。日本が韓国軍艦艇から自衛隊機に照射されたレーダーの電波音を公開し、協議の打ち切りを表明。韓国は反発し、自衛隊機が威嚇飛行を繰り返したと発表した▼日本の方が客観的な情報で正論を言っているように思える。韓国は振り上げた拳を下ろせなくなったようにも見える。韓国の人は全く逆に感じるのだろう。しかし、日米韓の防衛協力、民間交流を考えれば、両国の対立が続いては誰の得にもならない▼落語では友人が次第に熱さに耐えられなくなり、最後は「五右衛門は…」と言って言葉が続かなくなる。男が「五右衛門がどうした」と聞くと、「さぞ熱かったろう」。本音を漏らして終わる。日韓関係はそう簡単ではない。ここは一度頭を冷やし、話し合いで信頼関係を構築し直してほしい。(2019.1.25)