サンパウロから北西に約530キロ。赤土が広がる大地に名取市の姉妹都市グアララペス市はある。一帯は日系人がブラジルに来て最初に入植した地域。日本文化が根付き「日本人移民の古里」とも呼ばれる▼先住民の言葉で「せせらぎ」を意味するグアララペスと名取市が友好都市になったのは1979年。行商から身を立てた閖上出身の佐藤正吉さん(故人)が市長の親書を携えて帰郷したのがきっかけ▼閖上などが壊滅的被害を受けた東日本大震災が近年停滞気味だった交流を復活させた。ブラジルでの研修経験がある元名取市在住の水谷朱さん(51)=相模原市=らが被災者支援を続けた。それが縁で、ブラジルに派遣された日本人研修生がグアララペスを訪ね、帰国後に名取市役所を訪問するなど姉妹都市40周年に向けた機運を盛り上げている▼1月末、名取産食材をブラジル風に調理し振る舞う催しが同市であった。被災農家の小松菜のキッシュ、蒸留酒に代えて地酒で作ったカクテル…。参加者は風土の違う両国のハーモニーを楽しんだ▼外国人労働者の受け入れ拡大が4月に始まる。政府は「国際貢献」をうたうが、家族帯同を認めないなど、外国人を単なる労働力としか見ていないように映る。調和のとれた社会は育まれるだろうか。(2019.2.4)