「『障がい』と記してもらえませんか」。心身に障害のある人や家族、支援者らを取材すると、こう希望された。障害の「害」の字への当事者の抵抗感は強く、見るたびに心を傷つけられる-とよく言われた▼同じ理由で「ハンディのある」と言い換えるNPOや、「生涯にわたり支援する意味も込め、『しょうがいしゃ』と書く」という団体もある。しかし「障害」の表記は、法律や条例、公的な事業名などに厳として使われている▼障害ではなく「障碍(がい)」。兵庫県宝塚市が4月から、市の公文書の表記を変更すると報じられた。広報やホームページで既に「障がい」を用いるが、市民の要望も受け、「差別につながらぬ表現を」と決めたそうだ▼碍は「妨げ」のこと。障(差し障りの意)と合わせ、不自由な状況を表す言葉だった。が、戦後に定められた常用漢字から碍の字が外れ、音が同じ害の字が代用されたという。当事者が訴える不本意さも道理か▼障碍の意味は、世界保健機関(WHO)が打ち出した次のような国際定義に通じる。それは「個人の身体でなく、よりよい生活や活動を可能にする支援のない環境や、人と人の関係に存在する」。来年は東京パラリンピックがある。単に表記の変更だけでなく、人が等しく生きやすい環境を広げたい。(2019.2.7)