ネパールに『レッサン・フィリリ』という国民歌謡がある。人が集まると、にぎやかに歌い踊る。仙台市出身のシンガー佐野碧(あおい)さん(33)はライブで「あなたを想(おも)う気持ちは きっと越えてゆく ヒマラヤ」と日本語訳で歌い、二つの国をつなぐ▼同国で2015年に大地震があり、その翌年から毎年4月、現地で「HIKARI SONG GIFT」と題するコンサートを催す。被災者を歌で励まし、ソーラーのランタンを支援品として贈っている▼宮城学院大を卒業後、「東日本大震災が人生の転機になった」と言う。生き方を模索してプロになり、古里を思って歌う自作曲『虹色のひとみ』でデビュー。拠点の東京と仙台を往復しライブを重ねた▼ネパールと縁は深く、母の優子さんが同国の子どもの学資支援活動に30年携わる。首都カトマンズからの大地震の報を知って、「日本から応援しよう」とライブで募金を呼び掛け、優子さんの協力も得てコンサートを実現した▼過去3回は、街の広場やスラム、山の村で開催し、大勢の老若男女が集った。佐野さんが歌うたび、会場で配られたランタンが揺れ、その光は電気のない家々に届けられた。今年のコンサートに出発前の3月28日、仙台でライブを開く。「歌を通して多くの人につながってほしい」(2019.2.16)