秋田県ではあちこちで、男鹿半島に伝わるナマハゲのイラストを見掛ける。赤鬼風や青鬼風に単純化したものが多い。「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つとして国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に昨年登録されたナマハゲへの親しみを広げるのに、愛らしいイラストが一役買っている▼ナマハゲは無病息災や豊かな実りを願い、集落の家々を大みそかの夜に訪ね歩く。地元の青年らがナマハゲの面やわらで作った衣装を着けて神様に扮(ふん)する。迎える側は丁重にもてなす▼面は丸顔、面長、異国風など集落ごとに趣を変える。表情の色使いも赤、青、水色、緑、金、銀などを織り交ぜさまざまだ。単純化された絵柄を見慣れた感覚からは「これがナマハゲ?」と思うような面もある▼男鹿市の日本海域文化研究所が著した『ナマハゲ その面と習俗』は約90の集落で受け継がれてきた面を伝える。今月8~10日には市内の真山神社で恒例の「なまはげ柴灯(せど)まつり」があった。面や衣装が異なる各集落のナマハゲが集う貴重な場だ▼個性豊かな一つ一つの面に、それぞれの集落に宿る精神性が刻まれる。人々は安寧の祈りを面に託し、信仰の対象としてきたのだろうか。表情の多様さは、ナマハゲが男鹿の風土に紡ぐ世界の奥深さを物語る。(2019.2.19)