正式名称ツノナシオキアミ。小エビに似た甲殻類の一種であるイサダは、三陸に春漁の幕開けを告げる漁種にふさわしい桜色をしている。岩手、宮城両県で国内の漁獲量の大半を占める。女川魚市場によると、今年は3年ぶりに豊漁が続いているという▼夜が明けきらないうち沖に出た漁船はソナーや水温のデータを駆使し、親潮に乗って漂う群れを必死に探す。潮の流れを読みながらな細長い網を投げ入れる。漁が終わると一目散に港へ。落札する加工業者側の都合で、早く入港するほど高い単価で取引されるからだ▼うま味は強いが変色しやすく、食用に使われるのは水揚げ全体の3分の1ほど。主に養殖魚や釣りの餌として使われてきた。人工餌の普及などで需要が減少し、価格は最盛期の半分以下に低迷している▼そんな中で関係者の注目を集めているのがイサダの肥満防止効果。公益財団法人「岩手生物工学研究センター」(北上市)がイサダ特有の成分「8-HEPE(ヒープ)」に脂肪を燃やす効果があることを突き止めた▼昨年、乾燥させたイサダから「8-HEPE」の抽出に成功。岩手県の漁業者ら官民のプロジェクトがサプリメントなどとして商品化を進める。三陸固有の水産資源は沿岸漁業の復興を切り開く可能性を秘めている。(2019.3.30)