子どもの名前には親のさまざまな思いが込められている。結月、結愛、結菜。これらは昨年、人気だった女の赤ちゃんの名前。調査した保険会社によると、自然災害が相次ぎ、人とのつながりを示す「結」が多く使われたとみられる。名前は時代を映す鏡になる▼元号にも時代の特徴は現れる。『元号事典』(東京美術)によると、地震や火災に見舞われた平安時代末期は「永」「長」の文字が多い。鎌倉時代で目立つのは「建」や「元」。戦乱の世を建て直したいという祈りの表れらしい▼いつの時代も子の幸せを願う親の気持ちは変わらないように、各時代の元号には共通の願いが込められている。それは、人々の平和な暮らし。新元号に決まった「令和」も同じだろう▼出典は万葉集。初めて日本古典を引用した。首相談話には美辞麗句が並んだ。ただ、「応仁」や「天明」のように名前が素晴らしくても、戦乱や天災が起き、平和ではない時代が幾つもあった。理想を実現するため具体的に何をするか。中身が問われる▼平成は残り約1カ月。国内で戦争はなかったが、東日本大震災などの災害が起き、閉塞(へいそく)感に包まれた時代だった。令和は希望の時代にしなければいけない。未来を生きる子どもたちのため何ができるのか。一人一人が考えたい。(2019.4.2)