菅義偉官房長官が1日、墨書された「令和」の額を掲げ新元号を発表すると、早速あやかり商品が登場するなど、もう改元になったような騒ぎである。「平成」が嘆いている。「まだ1カ月ありますよ。お忘れなく」▼「平成」は昭和天皇が亡くなられた1989(昭和64)年1月7日に決まり、翌日すぐに始まった。新元号発表から5月1日の改元まで間を置くのは、コンピューターなど国や民間の情報システムの改修などの時間を確保し、国民生活を混乱させないための配慮である▼新元号を巡っては発表時期について伝統を重視する保守派と政府との間で駆け引きがあった。保守派が新天皇の下での発表を求めたのに対し、首相官邸が国民生活を優先し事前発表することで押し切った経緯がある▼皇位継承前に新元号が公表されるのは憲政史上初めてという。私たちは次の元号が分かっていながら「平成」を過ごす。考えようによっては、中ぶらりんな期間ではある▼新しいことが始まると、過去のことはすっかり水に流してしまうのも善しあしである。1カ月間は「平成」という時代の余韻のようなものであろう。せっかく与えられた時間である。お祭りムードから一歩引いて、この30年余の自分を顧みて新しい時代へと歩みだすのも悪くない。(2019.4.3)