欧米のメディアはひきこもりをそのまま「Hikikomori」と報道する。ひきこもりは日本の若者特有の問題とみているからだという。精神科医の斎藤環さんが著書『「ひきこもり」救出マニュアル』(筑摩書房)に書いている▼欧米の場合、社会から疎外された若者はホームレス化することが多い。これに対し、日本は儒教の影響からか、家族が彼らを包み込むため、ひきこもりが起こるらしい。ひきこもりは今、若者だけの問題ではない。衝撃的な数字が公表された▼40~64歳の中高年を対象にした内閣府の初の調査によると、半年以上、家族以外と交流せず、自宅にひきこもる人が全国推計で61万人に上った。親が80代、本人が50代で困窮する「8050問題」が深刻化している▼61万人というと、秋田市、盛岡市の人口の合計とほぼ同じ。働き盛りの世代がひきこもることによる社会的損失は極めて大きい。本人も怠けているわけではない。「家族に申し訳ない」「何とかしたい」と思ってもできない人が多い▼15~39歳の若年層を加えれば、ひきこもりは100万人を超える。一歩を踏み出せば、きっと居場所は見つかるはず。その一歩をどう支援できるか。家族だけでなく、行政、企業、地域をはじめ皆が真剣に考えるべき時が来ている。(2019.4.4)