東北は一つ。立派な理念だが、6県が足並みをそろえて何かに取り組むのはそう簡単ではない。知事さんは自分の県の利益になるかどうかをまずに考える。ならないとなれば、力の入り具合に温度差が出る。場合によっては互いの綱引きが演じられもする▼JR東日本などJRグループ6社と東北6県が手を携えて取り組む大型観光宣伝「デスティネーションキャンペーン(DC)」が2021年4月から半年間、東北を舞台に実施されることになった▼東日本大震災から10年の節目の年である。「仙台・宮城」など一部を対象としたDCは東北でもたびたび行われてきたが、6県全体となると、旧国鉄時代の1985年、元号で言うと平成を飛び越えて昭和60年以来、2度目という▼やはり心配なのは、各県が観光客の我田引水に走らないかということ。その辺は意識しているのだろう。村井嘉浩宮城県知事は「旅行者を宮城に囲い込まず、いかに東北全体に誘うかに全力で取り組む」と意欲を語った。ぜひ言葉通りに願いたい▼最も期待が大きいのは訪日外国人旅行者(インバウンド)の取り込みだという。それなら、なおさら県境にこだわるのは無意味。今までにない、新しい周遊ルートの開拓など知恵を絞ってほしい。オール東北の力が試される。(2019.4.9)