「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類には大きな飛躍である」。50年前、人類で初めて月面に降り立った米国の宇宙船アポロ11号のアームストロング船長はこう述べた。あの言葉に重なった▼「たった1枚の写真だが、非常に大きな意味を持った1枚です」。国立天文台水沢VLBI観測所(奥州市)の本間希樹教授が10日の記者会見で胸を張った。日本などの国際チームがブラックホールの輪郭を撮影することに初めて成功した、と発表した▼ブラックホールは恒星の残骸など大量の物質が圧縮され、強い重力を持つ天体。周囲では時間や空間がゆがみ、光さえ脱出できない。100年以上前にアインシュタインが存在を予言していた。ぼんやりした光の輪の中の「黒い穴」がついに捉えられた▼世界各地にある電波望遠鏡をつないで幅広く電波を集めることで、地球の直径に近い口径1万キロの巨大な仮想望遠鏡を作成。膨大なデータから画像に再構成した。本間教授らが開発したデータ処理法が貢献した▼天文学者の一人が「自分の目で見る日が来るとは思わなかった」と驚くほどの成果。ブラックホールや銀河の成り立ちが、自分の生きているうちにどこまで解明されるのか。普段、星空を見上げることも少ない身ながら、わくわくする。(2019.4.13)