以前と変わらない、手を抜かない戦いぶりだった。ボクシングの元世界3階級制覇王者、36歳の八重樫東(あきら)選手(岩手・黒沢尻工高-拓大出)。8日、世界前哨戦と位置付けた試合で、タイ人選手を2回TKOで沈めた▼2017年5月、直近のタイトルを失った。34歳。年齢による衰えやプロ31戦で蓄積したダメージを心配する声も。だが「負けで終わりにしたら後悔する」と5カ月後に現役続行を表明。日本人初となる4階級制覇を目標に掲げた▼「逃げない、投げない、諦めない」が身上。ぶれない姿勢がファンを引き付けてきた。日本人同士による初の世界統一戦となった井岡一翔選手との試合、だれもが避けていた軽量級最強選手の挑戦を受けた試合、世界戦2連敗からの3階級制覇…。記憶に残る名勝負は多い▼今後さらなる王座奪取となれば、長谷川穂積選手の35歳9カ月を抜いて日本人最年長となる。だが、4階級制覇は6月に井岡選手がタイトル戦に臨むため、先を越される可能性もある▼世界前哨戦翌日の9日、八重樫選手は自身のブログにコメントを載せた。「またコツコツ頑張ります」。強さを求め、もがきながらも、まっすぐに取り組んできた彼らしい言葉。ボクシングを続けられる喜びが伝わってくる。まだまだ応援したい。(2019.4.21)