太平洋戦争中、英国の植民地だったスリランカで現地の人々が日本兵を助けたという秘話が残る。重傷を負ったゼロ戦の飛行士を僧侶に率いられた漁民が助けて寺院でかくまい、日本軍に送り届けた。スリランカの映画監督が語っていた▼スリランカは戦後、日本に救いの手を差し伸べた。有名なのは、元大統領のジャヤワルデネ氏が1951年のサンフランシスコ講和会議で行った演説。ブッダの言葉を引用し、「憎悪は憎悪によってやむことはなく、愛によってやむ」と語り、対日賠償請求権の放棄を宣言。日本の国際社会復帰を訴えた▼大の親日家。死後、片目の角膜を日本人女性に提供した。両国は今も経済分野でつながりが深い。東日本大震災とスマトラ沖地震の被災地同士の交流もあった▼そのスリランカで悲劇が起きた。コロンボのホテルやキリスト教会などで発生した連続爆破テロ事件。約290人が死亡し、現地在住の日本人女性が犠牲になった。卑劣な手口に強い憤りを覚える▼当局はイスラム教徒を拘束したという。83年から25年以上続いた内戦は、ヒンズー教徒中心のタミル人と仏教徒中心のシンハラ人の争いだった。近年は仏教徒とイスラム教徒の衝突が続く。どの宗教も愛をうたっている。なのに、憎悪の連鎖が止まらない。(2019.4.23)