2013年の春先、スペインに出張した。冬が居座る東北地方と違い、地中海沿岸の空はどこまでも青く、白い日差しが地物の影をくま取っていた。そんな風光にまつわる印象より、くしゃみ、鼻水が止まらなかった記憶の方が鮮明だ▼「花粉症ですね」。通訳の女性が笑った。聞けばスペインにもスギ花粉症があり、発症者が増え続けているらしい。イネ科の植物、プラタナスやオリーブも時期をずらして花粉を飛ばし、備えもなくやって来た旅行者を長期間にわたって悩ませるという▼海外に脱出しても、花粉からは逃れられない。日本国内におけるスギ花粉症による経済的損失は、医療費と労働効率の低下で年に約3千億円、皆が外出を控えて消費が落ちることなどで約6千億円ともいわれる▼「子どもが花粉症なら、親が仕事を休んで病院に連れて行ったり、家族の負担もあるでしょう」と、仙台市内でクリニックを開院している眼科医は話している。スギ花粉症の減感作療法に取り組んで20年近い。でも、対応した患者は、数十人にとどまる▼減感作療法は症状を緩和する有効な手だての一つ。注射もあるが、舌下剤が主流で毎日の服用が原則。そして「3年は続けてください」。花粉の飛散が収まる今が始め時という。やってみませんか?(2019.5.12)