明治時代、親の影響で10歳に満たない子まで酒を飲む家庭がまれではなかった。健康被害を憂慮し「子どもを守るのは国の責務」と訴えたのが元衆院議員の根本正(1851~1933年)▼茨城県出身で自由民権運動に参加し、米国留学後の1898年に初当選。未成年者飲酒禁止法案を提出したが、同僚議員から「親が飲んでいるのに子どもに飲むなと言うのは間違いだ」と反対され否決された▼諦めない根本は19回提案を繰り返し、有力議員の支持を得て1922年に成立した。未成年者が飲むことを知りながら酒を販売した店などに罰則を定め、1世紀を経た現代に息づく▼『未成年者飲酒禁止法を作った人・根本正伝』の著書があり、断酒活動を支援する仙台市宮城野区の医師加藤純二さん(74)は「根本の時代より状況は悪化している」と危惧する。酒がコンビニなどでいつでも安く手に入るため、アルコール依存症がまん延し、高齢者が酒に囲まれて孤独死する例が増えたという▼この春、10連休などで飲酒する機会が増えたのだろう。泥酔者が飲食店などで暴れ、傷害容疑で逮捕される事件が目に付いた。ことし、8月のお盆は曜日の関係で最大9連休となり、また飲み会は増えそう。「酒は飲んでも飲まれるな」の格言を肝に銘じたい。(2019.5.13)