岩手・花巻東高野球部の佐々木洋監督(43)は部員に具体的な目標と、達成するために何をすべきかをチャートにして細かく書き込む「目標設定シート」を作らせる。自分の頭で考え、言葉にすることが大事との信念からである▼大リーグ、マリナーズの菊池雄星投手(27)とエンゼルスの「二刀流」大谷翔平選手(24)は岩手県出身で、佐々木さんの教えを受けた。共に卒業するころには大リーグを目指すことを公言していた。その指導がなければ夢は実現しなかったかもしれない▼右肘の手術をして今季は打者に専念する大谷選手と、菊池投手が大リーグで初対戦した。3打数2安打、うち1本塁打と、後輩の大谷選手に軍配が上がった。どっちにも活躍してほしい岩手のファンは複雑な気持ちだったろう▼菊池投手は大谷選手との同郷対決について「岩手の子どもたちが、自分たちもメジャーリーガーになれると思ってくれることが一番うれしい」と語っていた。岩手ばかりではない。同じ東北の子たちにも手の届かない目標ではなくなった▼2人の対戦は今後も続く。次は、菊池投手も簡単に打たれはしまい。大谷選手はホームランボールを「母校にあげたい」と言う。佐々木さんにとって、共に夢を育んだ教え子からの、何よりの贈り物に違いない。(2019.6.11)