東京五輪男子マラソン代表の服部勇馬選手は東洋大時代、エースとして活躍した。2年生だった2014年、箱根駅伝で「花の2区」を任される。左腕には「その1秒を削り出せ」の文字。チームのスローガンを書いて走った▼東洋大の酒井俊幸監督の著書によると、スローガンは「普段の練習から1秒を大切にし、一人一人がチームのために動く」という目標を表している。選手全員がこの言葉を胸に走り、同年は総合優勝。服部選手は翌年から2区で2年連続区間賞に輝いた▼その服部選手の後輩たちが快挙を達成した。出身校の仙台育英高が全国高校駅伝で26年ぶりに男女同時優勝を飾った。東日本大震災後、主力が集団転校し、存続の危機に立たされたが、残った生徒が伝統をつないだ▼優勝はOBも含めた選手たちの努力のたまものだろう。服部選手と同様、一人一人が1秒でもタイムを縮めようと毎日のきつい練習を頑張ったに違いない。「今日だけがすごかったわけではない。ピースを少しずつ埋め、今日最後の一つがはまった」。大会後、そう語った真名子圭監督の言葉が印象に残る▼自然災害が相次いだ今年、仙台育英高のようなスポーツ選手の活躍が人々の気持ちを明るくした。東京五輪がある来年へ、希望のたすきがつながるといい。(2019.12.24)