石巻市の柴田滋紀さん(44)は母校の門脇小に特別な思いがある。東日本大震災で津波が来た時、消防団員として人々を救助した場所だった。助けられなかった多くの命があった。数日後、焼けた校舎をスケッチしようとしたが、気持ち悪くなり、画家の道を諦めた▼それをきっかけに子どもの遊び場づくりを始め、NPO法人「にじいろクレヨン」を立ち上げた。「死ね」と言う子、車に石を投げる子、ボランティアをたたく子…。避難所などで我慢する子に寄り添い、見守り続けた▼これまで延べ7万人の子どもと接した。被災し、ストレスをためていた子どもは中高生や社会人になった。ボランティアとして活動を手伝う子もいる▼現在、NPOが取り組むのが子どもを見守るコミュニティーづくり。地域住民を巻き込み、子どもの目が生き生きと輝く場所を目指す。新型コロナウイルスの影響で子どもたちはストレスを抱えるが、「こんな時こそ場をつくる工夫をしなければ」と柴田さん▼自身は創作活動を再開した。昨年11月、門脇小の解体を前に校舎をスケッチした。今回は自然に描けた。今年は東京、仙台、石巻、山口県で個展を開く。震災から9年。少しずつ創作の喜びを感じられるようになった。子どもたちの笑顔が元気の源になっている。(2020.3.12)