気仙沼や仙台などで14のガソリンスタンドを営む気仙沼商会(気仙沼市)は、今月予定していた100周年祝賀会を取りやめた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた決断だ。立食形式。招待者は宮城県外からを含む300人。「大切な人たちに心配を掛けてはいけない」と高橋正樹社長(56)。「この日のために生きてきた」と語る父の脩会長(83)も納得した▼1920年の創業。エンジン付き漁船の普及を見越し、創業者が燃料供給会社の必要性を説き、船主ら99人の出資を得て設立した。高橋社長は「当時から地域のためにというDNAが満タンだった」と説明する▼東日本大震災では大半のスタンドが被災。避難所での3月11日の夜、社員が進言した。「気仙沼で残った2カ所のスタンドで、あすから給油しましょう」。翌日、手作業で給油する社員に、社長は創業時のDNAを見た▼木質バイオマスを使った再生可能エネルギーのプラント稼働や、リサイクル施設の設置にも取り組む。「震災後は世界の一員ということを強く意識する。世界を見据え、地域のために。地方都市から何ができるか挑戦したい」▼昭和の地元の大火や戦時下の混乱、チリ地震津波、震災。試練に耐えてきた。ウイルス禍も現社員220人と乗り越え、次代へ歩む。(2020.3.23)