「テレビっ子」は今や死語の部類に入る。物心がついた頃にテレビがあり、その影響を受けて育った子を言う。第1世代は1960年前後の生まれになろうか。芳しくないことも覚えてしまうので、テレビは親には警戒すべき存在だった▼中でも「低俗」とやり玉に挙がったのが、ザ・ドリフターズのお笑い番組『8時だヨ!全員集合』である。絶頂期の70年代に視聴率50%を超えたお化け番組になった▼付き人だった志村けんさんは74年、脱退メンバーの代わりに加入した。最初はなかなか活躍できなかったが、出身地・東京都東村山市の「東村山音頭」をコミカルにアレンジして歌って頭角を現し、加藤茶さんとの二枚看板となった▼番組が85年に終了し、ドリフを離れた後もコント一筋。「バカ殿様」「変なおじさん」などの人気キャラクターを生み出した。リーダーだった故いかりや長介さんは「志村だけが本格的なコメディアンの才能を備えていたのかもしれない」と著書に記す▼お笑い界の重鎮となった志村さんが、新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった。70歳。未知の感染症の恐ろしさを、図らずも私たちに印象づける形になった。半世紀近くも楽しませてもらった「テレビっ子」の1人として、心から感謝し冥福を祈りたい。(2020.3.31)