山形県大石田町出身の日本画家小松均(1902~89年)の「雪の最上川」は横幅約9メートルにも及ぶ4枚組の大作だ。墨で描かれた最上川の静かな表情は、大きく蛇行すると一変。激しく波打ち、濁り、渦を巻く。ほとばしるような川の生命力が表現されている▼川の豊かな流れは、この上ない自然の恵みである。最上川、富士川と並んで日本三大急流とされる熊本県南部を流れる球磨川からも恩恵を受けてきた。流域は穀倉地帯で、球磨焼酎の産地としても知られる。川下りなどのレジャーでもにぎわう▼豊かな流れは時に暴れ川となって水害をもたらす。3日から4日にかけての豪雨で球磨川が氾濫、一帯は泥水に漬かった。死者や行方不明者が出たほか、鉄橋が流され、道路は寸断された。被害の全容把握には至っていない▼近年は毎年のように大雨による被害が出ている。東北を襲った昨年の台風19号の傷痕も癒えていない。過去に経験したことがない大雨が相次ぐ中、水害からどう命を守るのか。日頃から川の氾濫や崖崩れを前提にした方策を立てるしかないのだろう▼熊本県にとっては、4年前の熊本地震に続く被災となった。新型コロナウイルスの再度の感染拡大が復旧や復興に影を落としはしないか。東北からもできる限りの支援を届けたい。(2020.7.6)