10万年という膨大な時間の長さは想像をはるかに超える。手元の百科事典などで調べると、ホモサピエンスがアフリカで誕生したのが十数万年前。そして10万年前、アフリカを出て世界に広がっていったという▼10万年はほとんど人類の歴史に匹敵するような時間だ。原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の放射能が、天然のウラン鉱石と同じ程度まで減少するためには、その10万年という長大な時を要するという▼核のごみをガラス固化体にして、地下300メートル以上の深い場所に埋めて管理する最終処分場。北海道寿都(すっつ)町が候補地選定の文献調査に応募を検討し、15日まで住民説明会を開いている。道や隣接する自治体、住民の多くは反対だという▼長い長い時間をどうやって安全に管理するのか。地下のマグマ、高い地温、熱水の流入、酸性の地下水、断層の発生…。それらが処分場を極めて危険な施設に変えてしまわないか。不安を感じるのは地元の人たちに限らないだろう▼核のごみの最終処分場の建設は、避けて通れない差し迫った難題なのは確かだ。それなのに、誘致に手を挙げる自治体を募るという「待ちの姿勢」に国は徹しているかのよう。面倒な問題に手を突っ込みたくないという気分が漂っているのが気になる。(2020.9.9)