私たちが日常の会話で使っている「たまたま」。手元の辞書には(1)偶然。ちょうどその折(2)まれではあるが、時折-とある。別の辞書には、意図していなかったのにそうなったこと、とも▼菅義偉内閣の「基本方針」を巡る平沢勝栄復興相の発言は後者の意味だったのだろうか。安倍内閣では一貫してあった東日本大震災からの復興や東京電力福島第1原発事故に関する記述がなくなったことを問われた際に口にしたのが、「たまたまそういうことになった」▼さらに「たまたま」の真意を問われると「(基本方針の)字数とか、いろんなある中で、あれしたけれども」。言葉尻を捉えたり揚げ足を取ったりするつもりはないが、苦しい弁明に終始した感は否めない▼安倍内閣の継承をうたう菅首相が震災に関しては路線変更したのかと受け取る向きも。そうした臆測を払拭(ふっしょく)するためなのか、菅首相はきのうの復興推進会議で被災地重視を強調。きょう福島県を訪れる予定だ▼新型コロナウイルス対策やデジタル庁の新設、携帯電話の料金引き下げといった目玉政策で頭の中がいっぱいだったのか。福島を訪れるのはいいが、「やっている感」を出すだけで終わらないように。実際に、何をどうやるのか。被災地の住民が注視していることをお忘れなく。(2020.9.26)