新型コロナウイルス禍が拡大し始めた春先、「禍」を「鍋」と誤読し、失笑を買った人がいた。笑い話で済めばいいが、災禍は続き、鍋を囲む芋煮会シーズンにも暗い影を落としている▼例年さまざまなグループでにぎわう山形市の馬見ケ崎川河畔も、今年の人出は少なめだ。市が毎年設置するマナー啓発の看板と並んで「密集、密接」を避け、感染予防を呼び掛ける看板が立つ▼河畔で31年続いた「日本一の芋煮会フェスティバル」はやむなく中止になった。ドライブスルー形式で先日、代替行事「ドライブスルーで芋に恋して」が同市の須川河畔であった。完全予約制で4000食の限定販売。調理スタッフや購入者の笑顔から山形人の「芋煮愛」が十分に伝わってきた▼里芋と牛肉に長ネギ、こんにゃくなどをしょうゆで煮込むのが山形県内陸部の流儀。行事に芋煮会を取り入れてきた小学校もある。コロナ禍で取りやめた学校もあるが、長期間の休校で校内の交流が減ったからこそ継続を決めたケースも。もちろん班同士が間隔を取るなど安全対策に細心の注意を払うという▼役割を分担し、秋空の下で、和気あいあいと郷土の味を楽しむ。少人数で、自宅でと今年は様変わりするが、食の習わしを守り、継承しようとする心の余裕は、失いたくない。(2020.9.28)