「秋田の誉れ」とばかりに、菅義偉首相の出身地の秋田は今月、沸きに沸いた。筆者自身も菅氏の首相就任を大いに喜んだ。ただし、新聞人としてではなく、酒が飲めない「下戸」としてである▼昨年6月、フェイスブックで下戸の集まり「ゲコノミスト」が発足した。「平成までゲコは冷遇されていたが、令和になって全国のゲコは立ち上がることになった」。説明文に賛同したメンバーは4000人を超える▼飲めないことで感じる生きづらさや悩みを共有する。「飲めないのは努力が足りないからだ」「その顔で飲めないの?」「人生をだいぶ損してるね」。何げない一言に心を痛めてきた人が何と多いことか▼発起人で資産運用会社社長の藤野英人さんは著書「ゲコノミクス」で、厚生労働省の調査を示し、日本人の半数以上は「飲まない」か「ほとんど飲まない」ゲコノミストだと指摘。ノンアルコール飲料など3000億円以上の市場が眠っており、メーカーや飲食店が下戸のニーズに応えることが消費拡大につながると説く▼政界のトップに上り詰めた菅氏は「下戸の誉れ」とも言える。国の将来を語り、国民を奮い立たせるリーダーとしての資質は見えてこないが、出世した姿に「下戸でいいんだ」と自信を持った人は少なくないだろう。(2020.9.29)