食通で知られた作家の故池波正太郎さんが、初見のすし店に入る際に懐具合を心配しなくて済む方法を伝授している。入り口のガラス戸から中を見て、「椅子とテーブルがあれば安心」。そこに座って「一人前頼む」と言えば、高級店といえども勘定は高が知れているとか▼財布の中身に余裕があっても、好きなすしダネばかりを食べるのは駄目だとも。頼む時は、控えめに「もう一つ、いいかね」。店やほかの客のことを考えることが肝要だと説く。著書『男の作法』から引いた▼新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた飲食業界を支援する、国の「Go To イート」事業が今月から順次始まる。プレミアム付き食事券は購入額に25%が上乗せされ、地域単位で発行、利用できる。ポイント還元はオンラインで予約すると、1人最大1000円分が付与される▼先行実施されている「トラベル」では、普段なかなか泊まることができない高級旅館が人気を集めているとか。「イート」も、これまで二の足を踏んでいた高級店を訪れる一つの契機になるかもしれない▼とはいえ、やはり気になるのは、その店が感染対策に万全を期しているかどうか。せっかくのごちそうを台無しにしないためにも、メニュー同様、そちらも重視して選びたい。(2020.10.1)