2世という言葉は、期待の表れの一方で、否定的なニュアンスや皮肉が込められることがある。親が偉大であればあるほど、何かと比較され、その存在が大きなかせとなることも▼血統が物を言う競走馬の世界も、父が名馬だと、かかる期待は大きい。大半は失望に終わるが、25日にあった第81回菊花賞では良血馬が偉業を達成した。コントレイルがレースを制し、父ディープインパクトに続き史上3頭目の無敗での三冠馬となった。父子2代の3冠は史上初の快挙だ▼英語で「飛行機雲」を意味する名の3歳馬は強かった。最後の直線をその名の通り飛行機雲を描くかのように疾走し、並走する馬を首差で振り切った。着差以上に力の差があった▼騎乗した福永祐一騎手も偉大な父を持つ。「天才騎手」と呼ばれながら、落馬事故で騎手生命を絶たれた洋一さん。父に比べてセンスがないと言われたこともあったが、父も成し遂げられなかった「3冠ジョッキー」の称号を手にした▼ディープインパクトは種牡馬としての実績も群を抜く。新三冠馬に期待するのは、父の悲願だった世界最高峰のレースの一つ、フランス・凱旋(がいせん)門賞の勝利。競走馬、種牡馬の道を順調に歩めば、ディープインパクトを「コントレイルの父」と呼ぶ日が来るかもしれない。(2020.10.27)