京都大学の山中伸弥教授は幾つもの大会に出場するなどマラソン好き。マラソンに例えて、山中教授が「今が中間点。これからがしんどいところ」と先日語った。研究中の人工多能性幹細胞(iPS細胞)についてだ▼記者会見にオンラインで参加した山中教授は、さらにこうも語っている。「iPS細胞をいち早く、少しでも安く提供したい。研究を進める上で地元からの応援はとてもありがたく、さらにがんばりたい」。心から応援したくなる▼会見はふるさと納税を活用した募金に関してだった。iPS細胞を使った再生医療の研究費に充てるため、京都府か京都市に寄付をすると、それが研究費などに回されるという。返礼品はない。その代わり、研究の進展状況がメールで来る▼住民税の一部を今住んでいる所とは別の自治体に振り向けるのがふるさと納税。一時、返礼品競争が過熱して総務省から問題視されたこともあった。しかし、税の使い道を役所任せにしないで、納税者が自分で決められるこの制度の意義は大きい▼「地元からの応援」と山中教授は語ったが、寄付は広く全国から集まるに違いない。今か今かとiPS細胞の一日も早い実用化を待っている難病の患者や家族は、たくさんいる。寄付は来年1月まで受け付けるという。(2020.11.1)