落語家の立川談志さんは生前、選挙の応援が大好きだった。縁のある人から頼まれると選挙カーに乗って投票を呼び掛けた。それには談志さんならではの工夫とこつがあったという▼視力が自慢だった談志さん。例えば「長野56の43-21のカローラの方、運転お疲れさまです」「赤いセーターを着たそこのお兄さん、声援ありがとう」などとまるで実況中継。親しげに呼び掛ける戦略が効果的だった▼目の前に元気な姿を見せ、肉声で支持を訴えることで新たな票を開拓し、あるいは支持をより強固にする。それは米国の大統領選も同じだろう。2人とも70代というそれなりに高齢なのに、信じがたいような強行日程で激戦州を飛び回った▼世界が注視する大統領選の投票が始まった。これまでにないタイプの異形の大統領と言われるトランプ氏、いかにも人の良さそうなアメリカのおじさんを思わせるバイデン氏。世論調査ではバイデン氏がやや有利とされるが、さてどうだろう▼政治家に必要な資質として、英国の元首相チャーチルは「あす何が起きようとしているのか、来週、来月、来年まで先を予見する能力」と語った。コロナ禍で導入された郵便投票を巡って波乱含みの開票がすぐに始まる。超大国のリーダーにふさわしいのはどちらだろう。(2020.11.4)