映画やテレビドラマなどに登場する悪役が見る者を魅了するには、いくつか条件がある。思いつくままに挙げてみると、(1)実力がある(2)タフである(3)弁舌が巧みで、カリスマ性がある(4)往生際が悪い(5)どこか憎めないところがある-など▼存在感を発揮すれば、作品は盛り上がる。時には主役を張ることも。開票の混乱が続く米大統領選で再選に黄色信号がともっているトランプ氏は、はたから見れば、見事にそれらの条件を兼ね備えている▼大統領として一定の業績を上げ、新型コロナウイルスに感染しても、驚異的な回復力を見せた。熱烈な支持者を多数抱え、中には狂信的な「信者」もいる。バイデン前副大統領がどちらかといえば地味なだけに、その個性は際立つ▼郵便投票や開票作業などを巡って訴訟を乱発しているのは、往生際の悪さゆえか。あるいは、不利な結果を見越して、当初から予定していた策略家としての一面か▼米大統領選は一方の候補者が敗北宣言をすることで決着が付く。だが、トランプ氏の場合は、バイデン氏の「当確」が出ても、敗北宣言はしないとの見方も。ただ、一部の報道では、劣勢が伝えられる中、ホワイトハウスで意気消沈していたとか。虚勢を張る中で見せた「素顔」だとすれば、それはそれで憎めない。(2020.11.7)