「高さのみち」。東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の復興祈念公園にある。「祈りの丘」の中腹、海抜16.5メートルの位置をぐるりと巡る。16.5メートルは志津川地区の市街地に襲来した津波の平均的高さ。道の名は端的にして、かつ重い。眼下には旧防災対策庁舎▼「庁舎をすっぽり包む高さにまで津波が来たこと。ぐるりと歩くことで、周囲が湖のようになっていたこと。一人一人が想像してほしい」。公園を設計した宮城俊作東京大大学院教授(都市デザイン)は語る▼公園は先月、全面開園し庁舎前まで行けるようになった。階段を下り、今度は庁舎前から「みち」を見上げる。背の丈の何倍もある高さの膨大な水を思う。ここで43人が命を落とした。祈らずにはいられない▼川の対岸は「さんさん商店街」。両岸をつなぐのは木の橋だ。悠久の自然を感じさせる「道」だ。商店街とは、なりわい。人は生きていく。フードコートのストリートピアノの前に立つと、曲が浮かんだ。ミスターチルドレンの「くるみ」▼そういえば、ミュージックビデオでドラムを担当していたのは気仙沼市出身のバイソン片山さんだった。2003年の曲だが、震災で被災し再起を誓う若者の心に寄り添う歌詞のように思う。結びはこう。「進もう 君のいない道の上へ」(2020.11.11)